ゲンタシンは、細菌の増殖をおさえて感染症を治す「アミノグリコシド系の抗生物質」で、一般的に皮膚科でニキビ治療薬として処方される塗り薬です。
抗生物質ですから医師の診察を受けて処方してもらい、医師の指導のもとで用法や容量を守って使用することが大切になります。
ニキビに使用するときは、赤く膿をともない腫れている赤ニキビにぬると特に効果的ですが、小さい白ニキビや大きい黒ニキビには、あまり効果はみられません。
※赤ニキビについては「赤ニキビにまで発展してしまったニキビ、一体どうしたらよいのでしょうか」でもくわしく説明しています。
ですから、ニキビが酷くなってから処方される薬だと認識しましょう。
どんな場所にできたニキビに効果があるかといえば、おでこ、鼻、頬、口、あご、首、背中、胸、お尻等のあらゆる場所の赤ニキビに使用できます。
こうしてゲンタシン軟膏のニキビ効果が期待されているわけですが、実際にはニキビだけに特化した薬というわけではないため、ゲンタシン軟膏に過度の期待をかけるのは控えた方が良いでしょう。
目次
ゲンタシン軟膏のニキビへの効果は?
成分のゲンタマイシンは、タンパク質の合成を妨害して殺菌作用が働きます。
ブドウ球菌属・レンサ球菌・アクネ桿菌(かんきん)・緑膿菌など様々な菌を殺すことができます。
そのため、ニキビ以外にもトビヒ、やけど、ヘルペスなど幅広く使用されて効果がみられますね。
アクネ桿菌はニキビの根本的な原因となっており、ゲンタシンがアクネ菌を殺菌してくれるでしょう。
また、マラセチア菌によるおでこのブツブツニキビもゲンタシンは殺菌して治してくれるのです。
ゲンタシン軟膏のニキビへの塗り方
ゲンタシン軟膏は、無色透明・無臭で刺激感もありませんからついベタベタと塗ってしまいがちですが、ほんの少量をニキビにつける気持ちで使用します。
まずは、洗顔後に1日2回を目安にニキビだけに塗るようにしてください。
ニキビの殺菌目的ですから、顔の広範囲に予防のために塗っても効果は期待できません。
抗生物質ですから、長期間使用すると効果が薄れてきて、副作用の心配も出てきます。
2週間ほど続けて使用しても改善されずかゆみや発疹が見られた場合には、すぐに医師に相談するようにしましょう。
ゲンタシン軟膏の副作用は少ない?
ゲンタシン軟膏は塗り薬ですから内服薬と比較すると安全性の高い薬といえますし、ステロイドも含まれておりませんから副作用はほとんどありません。
しかし、体調や個人差で薬と合う合わないがありますから、過敏症状を起こすこともあります。
過敏症状とは、腫れやかゆみ、発疹、発赤などの皮膚症状です。
怖いのは、ゲンタシン軟膏がステロイド系の薬ではない事から、安易に適量や期間を守らないということですね。
ゲンタシン軟膏を長い期間に広範囲にわたって使用し続けると、耳鳴り・目まい・難聴や腎障害までも起こす可能性があるといわれています。
ステロイド性の軟膏ではないから、ちょっと多めに塗ろうとか、長く使い続けよう、などと素人判断で使用継続してはいけません。
そのために、ゲンタシン軟膏を使用するときは医師の指示に従い、気になることがあれば早めに使用を中止して医師に再度診てもらうことが大切です。
また、アレルギーの方や妊娠、授乳中の方が使用すると余計にニキビが悪化するケースも否めませんので、必ず医師に相談することが必要です。
また他の薬品を使用していたり、健康補助食品などを継続していたりする場合にゲンタシン軟膏を使用すると、効果が半減されるなどが懸念されます。
このような状況の時には、主治医や薬剤師に現状を報告し指導を受けましょう。
何事も自己判断は禁物ですし、せっかくニキビに対して使用する薬ですから効果はしっかり得たいものですね。
塗り薬ですから目や口の中には入れないことと、幼児の手の届くところには絶対に置かないようにしてください。
ゲンタシン軟膏は、用法用量を守れば比較的安全性の高いニキビ薬として使用できますね。
ゲンタシン軟膏とゲンタシンクリームの違いとは?
皮膚科で処方されるのは、ゲンタシン軟膏だけでなくゲンタシンクリームの場合もあります。
軟膏とクリームでは、浸透性や質感などに違いがあると考えられますね。
ゲンタシン軟膏は緑色のキャップが特徴で中身は半透明ですが、ゲンタシンクリームは青色のキャップで中身は白色クリームです。
どちらにも共通することは、つけ忘れたからと言って2回分の量を一度につけてまったり、残った薬をいつまでも保管したりしてはいけない、ということでしょう。
ゲンタシン軟膏のメリットとデメリット
メリット
軟膏は何と言っても皮膚の保護に適しています。
つまり、薄い膜を貼って外部からの刺激を抑制してくれるでしょう。
ですから、幅広い範囲の皮膚症状に適しています。
保護効果によって成分がゆっくりと浸透していくので、元々肌があまり強くないという方にはより適しているといえるでしょう。
デメリット
ですが逆に考えると、浸透性がやや弱いため有効成分の浸透もクリームと比較すると、ゆっくりになるというデメリットがあげられます。
また、質感がベトベトしているという事を気にする人もいて、その後につける下地やファンデーションの仕上がりに不満を抱く人もいるでしょう。
実際に医師が軟膏かクリームどちらかを処方する事になりますが、医師はその人のアレルギー症状を含む肌質やニキビの症状などに合わせてどちらかを処方します。
ゲンタシンクリームの特徴と注意点
また、ゲンタシンクリームの場合は、軟膏と比較するとベトつきがなく、浸透性に優れていますね。
この浸透性に優れている理由は、たった1%ほどのゲンタシン成分を効率良く浸透させるために、軟膏のような膜がないからです。
そのかわり、肌馴染みを良くする乳化剤が使われています。
乳化剤を使用しているため、使用していない軟膏と比較すると腐りやすいというデメリットがあります。
腐りにくくするためにも、数種類の添加物を配合しているケースが多いですね。
この添加物が多ければ多いほど肌の弱い人は副作用が生じるリスクが高まるため、元々敏感肌や以前になんらかの薬品で副作用が出た人にとってクリームは不向きでしょう。
ゲンタシン軟膏よりもニキビケアを!
ゲンタシン軟膏は赤ニキビなどの炎症を引き起こしてからのニキビに効果的だという話をしました。
ですが、赤ニキビになっているニキビはかなりニキビの中でも重症度の高いニキビと言えます。
しかも、跡が残りやすくてシミになりやすいと言うリスクを抱えているのです。
酷くなる前にニキビケアをしておけば、先々、ニキビに悩まされる事は少なくなるでしょう。
それには、ニキビケアのようにニキビに特化したスキンケアが大切だといえますね。
ニキビケアならば、ゲンタシン軟膏の副作用に振り回されることなくニキビの悪化を防ぐ事ができますし、なによりもニキビ自体をできにくい肌にしてくれるため、赤ニキビどころか白ニキビや黒ニキビとも無縁になるのです。
ゲンタシン軟膏はニキビ対策の最終手段と考えて、ニキビケアを優先にしてみましょう。
まとめ
ゲンタシン軟膏は、赤ニキビのようなひどいニキビには効果的で、ステロイド性でないため安心して使用できるニキビ薬ですね。
ですがゲンタシン軟膏を使用継続してしまうと、体調に異変をきたすなどの副作用も懸念されるため、ステロイドではないから安心という安易な考えはやめましょう。
いずれにしても薬品ですから、体質に合わなければ間違いなくゲンタシン軟膏による副作用は生じます。
それよりも大切な事はゲンタシン軟膏に頼る前にニキビ自体を発生させないようにする事ではないでしょうか。
そのためには、ニキビケアを優先的におこなっていくことが大切です。
ニキビができたら「ゲンタシン軟膏を使えばいいや!」などと思わずに、ゲンタシン軟膏と無縁になる肌を目指したいものです。